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高島ちぢみの秘密

秘密というと、語弊がありますが、高島縮が夏物衣料になぜ適しているのか、興味を持っていただけたらなと思っています。

人は、体温の上昇により、皮膚の表面に汗をかきます。

その汗が乾くことにより、気化冷却が起こり、速やかに人体は、冷やされます。このことは周知の事ですが、

特に乾燥した地域では、気化冷却も効果的に働き、肌も衣服もさほど長く汗で濡れていることなく、快適でいられますが、

温暖であり、かつ多湿な日本において、気化冷却は阻害されやすく、衣服の形状や素材に無関心でいてはいけません。

そこで夏物衣料に適するには、下記の要件が重要なのではと考えます。

  ・涼しさを得るために通気性があること。

  ・汗を吸い、早く乾くことの阻害を最小限に。

  ・肌触りがサラリとしていること。

上記3点において、高島ちぢみの適合性を考えてみたいと思います。

通気性

夏物衣料は、総じて、ほかの季節ものより、細番手を使い薄く軽く、規格密度を荒くして、通気性をよくします。生地の涼しさ(通気性)とは、糸の太さとタテヨコの密度でおおむね決まってきますが、必要以上の透け感や物性的に目寄れの抵抗力(糸がずれやすい)が低すぎても、よくない生地ができてしまいます。

無撚糸織物と強撚糸織物を同じ規格生地で比較した場合、強撚糸織物の方が、織物結束力が良く、目寄れの抵抗力が高くなります。つまり、涼しさへの規格設計の限界値が高いことになります。

また、透け感においても、しぼがあることによって、軽減されます。

吸水速乾性

高島縮は、シルクや麻などの綿混素材を扱うこともありますが、基本的に綿100%素材が多く、綿の性質として、吸湿性は、非常に良好です。

ただ、綿の放湿性は、麻などと比べると劣りますので、高島縮は、その特徴から、生地の表面積の広さで放湿性を補っています。

通常、追撚糸織物でない綿布は、生機巾から5%~10%程度を縮めて加工上げ幅とすることが多いですが、高島ちぢみは、生機巾から20%~40%縮めて加工上げ幅とします。

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巾比較 上側は、高島ちぢみ生機(織り上がり直後の生地) 下側は、上の生地を加工上げた生地

上の画像は、当社の生地で38%くらい縮めた比較生地です。並べてみると、あらためて感心しますね。衣料用途の中で綿ちぢみ以外には、通常見ない落差の縮め方ではないでしょうか。

縮むといっても、フラットにではなく、高島ちぢみは『しぼ』を伴って巾を縮めていますので、単純に見ても、通常の綿布より10%~30%の表面積を高島ちぢみが、多く持っていることになります。大きい表面積は、それだけ空気との接触面がありますので、乾燥性が向上することになります。

◎シャリ感

感覚なので、あまり言葉で現わすのは、苦手なのですが、

季節が暑くなると、何故かシャリ感のある生地に触れていたくなります。汗をかくような気温の高い日は、クーラーが効いている部屋でも、肌に、涼感のあるそのシャリ感を触れていたくなります。

綿はもともと、しなやかな風合いなのですが、高島ちぢみは、糸を強く追撚することにより、そのシャリ感を出しています。麻100%の握るとやや硬く、やや反発する感じの極上のシャリ感とは違って、もう少し柔らかく、インナーとして使用しても、気持ちいいいシャリ感です。一度味わってください。

高島ちぢみにおいては、多様な糸の組み合わせと強弱取り合わせた撚り回数で、いろんなシャリ感覚を生み出しています。それはシボの形であったり、糸そのものの硬さであったり、生地が仕上げ終わって、初めてわかるものも、常時です。